空中浮遊菌の捕集測定方法・装置選定方法について
メーカー詳細清浄度の管理・調査に最適な浮遊菌捕集装置エアーサンプラーの解説とご紹介
医薬品製造現場・食品製造現場でのヒトが体内に取り込む製品を生産している場所や病院の様に感染症対策を行わなければならない場所では、空気の清浄度の管理が欠かせません。
何故なら、浮遊微生物が生産品・ヒトに混入してしまう事で、製品の品質の異常や体調の異変につながってしまうからです。
本稿では、浮遊菌測定の解説をQ&A方式でユーザーのよくある疑問を解説します。
弊社にてご用途に適した浮遊菌サンプラーを選定しご提案いたします。
まずは下記の依頼フォームで浮遊菌サンプラーの選定をお申し付けください。
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Q1 浮遊菌とは
ヒト由来(皮膚や呼吸器)のものや着衣・建造物等に存在する細菌や真菌といった微生物が微粒子に付着し、それらが人の行動や風の流れで空中に浮遊したものを浮遊菌と呼びます。
Q2 なぜ浮遊菌を測定・管理する必要があるのですか?
浮遊菌の管理が適切に行われていない場合。例えば、医薬品の製造において浮遊菌が混入した場合、注射剤や点滴液を経由し、ヒトの体内に入り込む事で重篤な健康被害を及ぼす可能性があります。病院では院内感染を引き起こすことがあるかもしれません。
これらを防ぐために、定量的に浮遊菌の測定/管理を適切に行い、区域分けやリスクマネジメントをすることで健康被害を防ぐ事が必要です。
また醸造工程のように、想定されている菌以外が製品の品質に影響を及ぼさせない為に、浮遊菌の測定・管理が必要とされるケースもあります。
Q3 浮遊菌捕集の手法は何がありますか?
菌の捕集方法は
- 培地を一定時間開放状態で配置し採取する落下菌法
- 浮遊菌を装置で吸引し培地に吹き付ける事で採取する慣性衝突法
- 液体面との衝突及びその後の液体の中への噴出によって空気又は他のガス中の微粒子を捕集するインピンジャ方式等があります。
どの手法でも、菌の捕集→培養→菌種の同定とコロニー数のカウント→判定といった手順が必要になります。
Q4 どの手法で、どういった規格・手順に沿えばいいのかわかりません
JIS B 9918(ISO 14698-1)では「方法及び装置の選択は、サンプリングする目的によって異なる」と記載されています。
現状、全ての目的に対応した装置はなく、各測定方法と各装置の特性を理解した上で選択する必要があります。
また、各区域の重要度やワーストケースを考慮してサンプリング計画を立てなければいけません。
例:製品生産設備付近・ヒトが頻繁に移動や接触する場所・患者の重症度・製品のコンタミリスク 等
サンプリング計画を作成する参考時の各ガイドラインを下記に記載します。
- 日本工業規格 JIS B 9918-1(国際標準化機構 ISO 14698-1)クリーンルーム及び関連制御環境-微生物汚染制御-
- ISO 14644-1:2015(クリーンルームの規格)
- PMDA 無菌医薬品製造区域の環境モニタリング法
- PIC/S GMP Annex1
- WHO GMP
- 日本病院設備協会基準等
- HACCP及びISO:22000
- ISO8573-7 圧縮空気-微生物汚染物質含有量の試験方法
参考とする各規格により
- 測定方法
- 頻度
- 培養方法
- 基準値や基準値の決め方
- 基準を超えた際の処置
等が決められています。
Q5:エアーサンプラー以外に必要となるものは何がありますか
- 培養用の寒天培地
弊社では、培地は取り扱いをしておりませんが 廉価な国内外のメーカー製品が数多く販売されていますので、そちらから選んでご利用いただきます。いずれも標準的な「90㎜プレート」のものがあります。
どんな菌を測りたいかで 培地の種類がおおまかに2種類に分かれます。
・一般細菌用 (いわゆる空中浮遊菌)を測りたい場合
培地名: SCD(ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト)カンテン培地が最もよく使われます。
・カビ、酵母、真菌を測りたい場合
培地名: 「サブローカンテン培地」 もしくは「サブロー・ブドウ糖カンテン培地」が一般的です
- 培養用恒温槽:
サンプリングした培地を 「恒温槽=インキュベータ」で培養します。培養温度、時間は共に菌の種類(好気性/嫌気性/酵母・かび)によって異なります。
一例として、好気性細菌に30℃ 72時間といったルールが採用されているケースもございます。
- コロニーカウンタ:
培地上に現れたコロニー(菌の集まり)をカウントするペン状のツールにて実施。
コロニーカウンタでは菌種の同定までは行えないので、検査機関へご依頼をしていただく必要があります。
Q6 空中浮遊菌測定について。様々な装置がありますがどれを選べばいいですか?
一般的に、空中浮遊菌サンプリングは能動的に捕集できる「慣性衝突法」を利用した装置が広く販売されております。弊社取り扱いエアーサンプラーもこちらにあたります。
各モデルでは、吸引流量や構造、利便性が異なります。その為、ご使用の用途によって選択するモデルが異なります。
ハンディモデルでは、各ゾーンでの無菌性確認や食品製造工程での菌の検出といったご使用目的や環境に合わせた吸引量、滅菌性や培地交換のしやすさなどのユーザビリティ、HEPAフィルタの有無を考慮して選ぶ必要があります。
弊社取り扱いモデルでは
クリーンルームでの使用・・・
BIOSAMP MBS 1000-N(HEPA搭載/高捕集率/軽量)
SAS SUPER ISO USB(データ出力機能/55mmコンタクトプレート使用可/180L/分吸引可能モデル有)
DUO SAS SUPER(360L/分の大吸引量/デュアルヘッドで、培地を分けて同時に測定可能)
一般環境での使用・・・
BIOSAMP MBS 1000-N(HEPA搭載/高捕集率/軽量)
SAS SUPER IAQ(軽量/55mmコンタクトプレート使用可)
アイソレータでの使用では、空気の流れを乱さない低流量のものや排出される空気から極力微粒子が検出されない用にフィルタが搭載され、無菌性担保の為捕集部と本体(操作及び排気)部が別れているといった点が重要視されます。その為、ハンディタイプではなく定置式のものが適しています。
推奨モデル:
BIOSAMP MBST-2000(HEPA搭載/高捕集率/グレードAゾーンの気流を乱さない28.3L/分)
どちらも捕集効率や使用可能な培地の把握も大切です。
また、圧縮空気の微生物含有量の検査が必要の際には下記モデルがございます。併せてご確認下さい。
推奨モデル:
PINOCCHIO CR SUPER(電源不要/55mmコンタクトプレート使用可)
おわりに
空中浮遊菌測定に関する捕集/測定方法・装置選定方法についてご理解いただけましたでしょうか。安全な製品の製造・コンタミネーションコントロールを実行する上でご参考の一助になりますと幸いです。
製品に関する詳細、お見積り希望はお問合せフォーム「CONTACT」よりお気軽にお問合せ下さい。
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